むし歯になって歯科医院を訪れた経験がある方は、少なくないのではないでしょうか。むし歯は細菌によるお口の感染症。細菌自体は誰のお口の中にでもいますが、治療が必要になるような症状が出るには、いくつかの原因があります。
お口の中に棲息する多くの細菌のうち、「ミュータンス菌」という細菌がむし歯の原因菌です。生まれたての赤ちゃんのお口の中には、ミュータンス菌は存在しません。生活の中で、いつの間にか感染していることがほとんどです。 |
実は、むし歯菌そのものが歯を溶かすわけではありません。食べ物などの残りかすに含まれる糖分からむし歯菌が酸を作り出し、この酸が歯を溶かしていくのです。 |
むし歯菌が糖分から酸を作り出すまでの時間は、食後から30分ほどといわれています。むし歯菌の栄養源となる糖分がお口の中に残っている時間が長いと、必然的にむし歯になりやすくなってしまいます。 |
歯を削る治療を繰り返している方や栄養不足で歯質が弱い方、生まれつきだ液の殺菌力が弱い方などは、むし歯になりやすい体質だと言えます。 |
これらの原因をきちんと理解して、むし歯をできるだけ予防することが大切です。食後のブラッシング習慣や適切なセルフケアを心がけましょう。
むし歯は、一度発症すると自然には治らないため、削って治すしかありません。しかし、歯を削る治療は歯の寿命を縮めるほどのダメージとなるのです。いつまでも健康な歯を保つためには、むし歯にかからないように予防するか、歯を削る必要がない初期の状態で発見して、適切な処置をするしかありません。早期発見・早期治療のためにも、お口に異変を感じたらできるだけ早めに、また症状がなくても定期的に歯科医院でチェックすることをおすすめします。
進行段階 | 症状 | 治療法 |
---|---|---|
C0 |
歯の表面のエナメル質が溶けはじめ、白く濁っている状態。まだ歯に穴はあいておらず、痛みなどの自覚症状はありません。 | 適切なブラッシングやフッ素塗布で治ることがあります。 |
C1 |
歯の表面のエナメル質がさらに溶け、黒ずんでいる状態。冷たいものがしみることがありますが、まだ痛みはありません。 | むし歯に冒された部分を削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて治療します。 |
C2 |
エナメル質の内側にある象牙質までむし歯が進行した状態。冷たいものや甘いものがしみるようになり、ときどき痛むこともあります。 | むし歯に冒された部分を削り、インレー(詰め物)で補います。 |
C3 |
神経までむし歯が進行した状態。熱いものがしみるようになるほか、何もしていなくてもズキズキと激しく痛むようになります。 | 神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療を行い、クラウン(被せ物)を被せます。 |
C4 |
歯の大部分が溶けてなくなり、歯根までむし歯に冒された状態。神経が死に、痛みはなくなりますが、歯根部に膿が溜まると再び痛みが出ます。 | 多くの場合、抜歯が必要です。抜歯後、入れ歯やブリッジ、あるいはインプラントなどで失った歯の機能の回復を図ります。 |