歯周病は歯ぐきに炎症を起こす病気。この病気の名前は聞いたことがあっても、その恐ろしい実態についてあまりご存知ない方も多いのではないでしょうか?
歯周病の初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。そのため、症状に気がついたころには、かなり進行していることが多いのです。歯ぐきに違和感を覚えるなどお口に変化があれば、小さなことでも見逃さず、歯科医院を受診するようにしましょう。
近年の研究により、命に関わるような重篤な疾患やトラブルに、歯周病菌が関係していることがわかってきています。歯周病菌が血液の流れに乗って全身を巡り、そこで炎症を起こすことでさまざまな病気・トラブルの原因となるのです。
心疾患・ |
血管内で炎症を起こした歯周病菌は、血栓をつくりやすくなります。心筋梗塞・狭心症・心内膜炎、脳血管障害などを引き起こすとされています。 |
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肺炎・ |
お口の中に棲息する歯周病菌が、だ液の誤嚥により肺に至り炎症を起こします。高齢者に適切な口腔ケアを行うことにより、誤嚥性肺炎の発生を抑えられたという事例もあります。 |
糖尿病 |
糖尿病と歯周病の関連は深く、相互に発症・悪化させるため注意が促されています。糖尿病は免疫力を低下させ、多くの合併症を引き起こします。 |
早産・ |
妊娠中の女性の口腔内に歯周病菌が増えると、免疫バランスが崩れてしまいます。そのため、陣痛に似た収縮を引き起こす物質が分泌され、早産や未熟児(低体重児)出産のリスクが高まります。 |
歯周病の進行は、症状と、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さを目安にします。
進行段階 | 状態・症状 | 歯周ポケットの深さ |
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歯肉炎 |
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3mm程度 |
軽度歯周炎 |
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4mm程度 |
中等度歯周炎 |
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6mm程度 |
重度歯周炎 |
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8mm程度 |
このような症状が少しでも見られるなら、早めに歯科医院を受診し、適切な治療を行うようにしましょう。
毎日丁寧にブラッシングしているつもりでも、ご自身の口腔内環境に合った磨きかたができているかたは少ないのが実情です。当院では、歯周病の原因菌が棲息するプラークをきちんと落とすことを重視し、適切なブラッシング方法をご指導します。毎日のセルフケアの精度を高め、歯周病の発症・進行を抑えます。 |
細菌の集まりであるプラークが死に、石灰化したものが歯石です。歯石は表面がザラザラしているために、プラークが付着しやすく悪循環を招きます。通常のブラッシングでは歯石を落とすことができません。歯周病治療では、スケーリングという処置で歯石をしっかり除去します。除去後は、ルートプレーニングによって歯の表面をツルツルに磨き上げ、プラークの再付着を防ぎます。 |